建物の耐震性能に対して「築年数」が与える影響とその理由とは?

建物の耐震性能に対して「築年数」が与える影響とその理由とは?

築年数は新築で建てられたときから徐々に増えていくものですが、それが耐震性にも影響を与えることをご存知でしょうか?それだけでなくいつ建てられたのかという部分もとても重要なのです。

そこで今回は、建物の耐震性能に対して「築年数」が与える影響とその理由についてご紹介いたします。

耐震性は経年で劣化してしまう

建物は経年で劣化してしまうものです。どれだけメンテナンスをしたとしても、徐々に発揮できる性能は低下していくため、定期的にリフォームなどで性能をもとに戻すことが必要となるでしょう。築年数によって建物の劣化状況を目安というかたちで把握することは大切です。耐用年数を目安とすることは簡単ですが、あくまでも税務上で定められている数字ですので、実際建物が限界を迎えるタイミングとは限りません。劣化状況をしっかりと確かめるタイミングという認識で問題ないでしょう。

それと同様に、耐震性に関しても経年劣化をします。地盤や基礎など耐震性を確保するための工法も、時間の経過とともに環境自体の変化も発生しますので、本来の性能を発揮することが難しくなっていくのです。築年数が経っているほど耐震性に関しても劣化していると考えて間違いありません。

現在ご自宅がすでにある程度築年数が経っているということでしたら、まずは劣化具合をチェックするところから始めてみましょう。見た目に変化がなかったとしても耐震性に問題がないとは限りません。むしろ見た目ではわからないものの劣化している状態というのが最も危険です。いざというときに倒壊してしまうリスクがありますので、見た目のことは一旦考えずに、築年数をベースにチェックしてみるのがおすすめです。

建築時期も重要

築年数と併せて意識してほしいのが「建築時期」です。その建物がいつ建てられたのかということですが、それには建築基準法が関係しています。建築基準法というのは、建物を建築する上で安全面などを考慮するために定められた法律です。日本において建設をする場合には、必ず建築基準法を遵守しなければなりません。1950年に制定されたのですが、1981年に耐震性に関する部分の改正がなされました。つまり、この改正以前と以後では建物の建築基準が異なっているということになるのです。

建築基準法の改正後に建てられた建物に関しては、現行の基準が採用されているということになりますので問題はありません。しかし、改正前に建てられた建物は当時の建築基準法に則って建てられているため、現在の基準よりも甘い状態となるでしょう。築年数が何十年も経過していて、かつ建築時期が1981年以前の建物は非常に耐震性が劣っているということになります。念の為チェックをして見る必要はありますが、少なくとも条件が揃っている時点でそのままでは危険な物件ということになります。

新旧建築基準法の違い

1981年に行われた建築基準法の耐震性に関する部分の違いですが、以下のとおりです。

震度5程度の地震に対する基準

改正前に関しては、建物の自重の 20%に相当する地震力を基準に許容応力度計算を算出し、計算値を下回るような耐震性をもたせるというものになっていました。これは目的を「倒壊しないレベル」としている基準値となります。しかし、改正後の基準としては倒壊しないではなく、「ほとんど損傷しない」ことを目的とした計算値に変更となったのです。震度5程度の地震はこれまでに200回以上発生していますので、倒壊しないというギリギリの基準ではなく、ほとんど損傷しない十分な耐震性を基準にすることで安全性を高めたのでした。

震度6以上の地震に対する基準

震度6以上の地震に関しては非常に大きな揺れとなりますので、建物への影響も非常に大きくなります。ところが改正前に関しては、震度6以上の地震に対する基準は設けられていませんでした。つまり、震度5程度の地震では倒壊しなかったとしても、震度6以上の地震が発生した際には倒壊するリスクがあったというわけです。そこで改正後に関しては、震度6以上の地震を想定した上で、倒壊しないレベルのための検証を行うことが義務付けられたのでした。これを「二次設計」といいます。

古い住宅は耐震補強が必要

目安として、築年数15〜20年経過している建物の場合には、耐震補強をする必要があるといえます。建築基準法改正後に建てられた物件であっても、現在その基準を満たせているとは限りません。そのため築年数が経っている建物に関しては、耐震補強が必要であるという認識をするようにしましょう。ただし、実際にどのような補強をするべきであるかは建物の状態によって変わってきます。まずは建物の状態を正確に把握することが大切です。

耐震補強にはさまざまな方法があります。室内に耐震シェルターを設置するという簡易的なものもあれば、古い住宅のように建物全体の耐震性が劣化している場合に有効なリフォームという選択肢もあります。家を建て替えるというのが最も確実な耐震性能の向上方法ではありますが、かなりの工数と費用が発生してしまうのでそう簡単にできることではないでしょう。リフォームであればまだ現実的でしょうから、プロに相談してどのような豊富が最適であるのかを確認すると安心です。

地震はいつ発生するかわかりません。いざというときに倒壊することなく家族が安全に避難できるようにするために、建物の耐震性がポイントとなるのです。まずは相談だけでもしてみてください。

まとめ

築年数に比例するかたちで耐震性は劣化していきますし、旧建築基準法のころに建てられた建物ですと、現代の基準からすれば耐震性が低い扱いとなります。「有限会社タック・ケン」では、無料で耐震性に関するアドバイスを行っております。まずは実際に耐震性が十分かどうかを確認しましょう。耐震補強リフォームの対応も可能ですので、お気軽にご相談ください。